トップページ]>[作品集]>[たのみましょう


たのみましょう

たのみましょう(H17年4月号)

H17年4月号

たのみましょう

 もちろん雲水さんが主人公であるが、隠れたテーマは衣の青い色である。絵の具で言えば群青、よくラピスラズリと混同されるが、ラピスは余程濃い、黒に近い濃紺でなければ、粉に挽くとただの灰色。高価の所以である。
 ラピスラズリはフェルメールが用いた青として有名であるが、リンシードオイルで溶くと透明になり、被覆力が著しく劣る筈。画聖ヤン・ファン・アイクもテンペラを溶剤にして用いている(ゲントの祭壇画のマリア像)。空色くらいの青味なら出せるのか、検証の余地有り。
 群青はヨーロッパ名で言えばアズライト、原料は藍銅鉱である。 これはパステル画なので、群青で描いたものではないが、「プライベートサイト」に載せている「警策」の様に、絵絹に岩絵具の天然群青を用い、30号くらいに拡大して描き直したいと思っている。(パステル画)

 「警策」は絵絹の上に全て岩絵具を用いて描いたものであるが、完全マット&フラットの均質なマチエルの絵である。
 岩絵具が日本画でしか使われないのはもったいない。こういう写実画で効果があると思う。卵テンペラと違って、均一な平塗りも、エアーブラシの様なグラデーションも可能。明るい所の描写も、白を混ぜなくても粒の細かい岩絵具で描けるし、陰の部分も粒の粗いのを焼いたものでバルールが合う。混色もチューブ入り絵の具は減彩混合になるが、点描の様な中間混合に近い。  本来、ルネッサンス時代のテンペラ画やフレスコ画の顔料も、今、手に入るものでは岩絵具がより近いのではなかろうか。


トップページ]>[作品集]>[たのみましょう